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​稽古場リポート

オリジナルキャストの深井順子/森下亮に加えて、新キャストの土屋神葉/上西星来を迎えて行われている本作の稽古。

まず演出の糸井より4人で一つの作品をつくるように稽古していきましょう、という方針から、一シーン中にどんどん俳優を入れ替えていろいろな組み合わせで稽古を進めていく。

作品冒頭、公園に居る二人の中学生こなことユキユキのやりとり、演出の糸井が初めてそのシーンを演じるこなこ役の上西に、シーンの雰囲気や台詞に込められた情感を丁寧に伝えていく。

オリジナルキャストの二人だけだったら聞くことがなかったかもしれないその言葉に、同じ役を演じる深井も真剣に耳を傾ける。

上西は、初演を演じた深井のアドバイスも取り入れ、演出の糸井の指摘に真っすぐに応じていく。その素直さが演技にも表れ稽古中の進化が著しい。

土屋が自由闊達なアイディアをどんどん盛り込んで糸井の要請に応じる度に、稽古場が笑いに包まれる。

土屋上西.jpg
森下深井稽古場.jpg

深井は、その土屋に輪をかけて自由に応じ、新しい空気をどんどん生み出していく。

再びユキユキ演じる森下は、改めてこの作品が彼の為に書かれたと思わせる、どの役もまさに当たり役。稽古場では彼のパフォーマンスが作品の基調となっていく。同じ役を演じる人と一緒に稽古することはめったにないことと、4人ともにその機会を大いに楽しんでいる様子。和気藹々とした4人の自主稽古は、度々、シンクロするユキユキとこなこが二人同時に出現していた。

糸井は、自作を再演する際、基本的に脚本から手を入れてリクリエーションをすることが多いが、『春母夏母秋母冬母』は、本人が非常に気に入っているという言葉の通りか、珍しく初演の台本のまま再演される。演出も殊更に変えることなく、俳優が出ずっぱりの二人芝居、演じ手が変わるだけで雰囲気も違ったものになってくる。とはいえ、演出の糸井は、初演の再現ではなく、もう一人の同役の模倣ではなく、一つ一つを見直しながら、一人一人と向き合いながら、より最適解を探していく。

こなこ(深井/上西)とお母さん(森下/土屋)での病室での一シーン。演出に少しの変更点を加えてそれを試してみる初回。お母さんを演じる森下がそれに見事に演技で応え、稽古場にいる人々の胸を打つ。そのささやかともいえるマイナーチェンジが、作品の情緒をより深めていく。

 再びの上演の機会と新しいキャストを得て、『春母夏母秋母冬母』は稽古場でより強固な普遍性を手に入れようとしている。

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