入江雅人 自作を語る その2 ~今回、上演する三本について~
- 入江雅人
- 2020年9月27日
- 読了時間: 4分
更新日:2021年9月22日
ー月夜のゾンビー グレート一人芝居『マイ グレイテスト ヒッツ』の最後に予告編として上演しました。
ゾンビパンデミックの中、役者がゾンビになりきって危機を脱出しようとする話です。
それを練り直して『サマーオブザデッド』で上演しました。 そもそも僕が、こんなにゾンビものをやることになったきっかけは『ショーンオブザデッド』を観たことです。
「こういうのを舞台でやりたいし、日本を舞台にしたら絶対に面白いものが出来る!」 と強く思いました。 特に『ショーンオブザデッド』の中のゾンビになりきって逃げるくだりが好きなんですが 「これもっと面白くなるなぁ」と思ってたのを大きく発展させて役者が主人公の話にしました。
ゾンビに遭遇して逃げるという王道のゾンビものですが、このパターンが一番難しいです。 ゾンビブームで様々なパターンが登場しきって、どう頑張っても新鮮味がありません。 そもそも一人芝居でやるのは、とても大変です。
ゾンビが出現する状況をどうやって表現するか、沢山のゾンビたちの出現をどう表現するか、どう戦いどう逃げるか、それらを全て舞台上でたった一人で表現するわけです。 走ったり戦ったりゾンビになりきったり、とにかく体力勝負の作品です。 こんなスケールのゾンビものを一人芝居でやってる人は、世界中探しても なかなかいないと思います。いや、きっといない!
ー映研のゾンビー これも映画に大いに刺激を受けて完成した作品です。『桐島部活やめるってよ』です。 あの映画は大好きなんですが、映研のメンバーが撮ってる作品が、どうにもつまんなさそうなのが残念で、勿論それで全然良いのですが「もし映研が、面白い映画を撮ったら」と思って書き出しました。 最初は顧問の先生を映画好きにしてたんですが、あまり話が弾まずにボツにしようとしました。『サマーオブザデッド』に出演してもらったピアニカ前田さんが、稽古場で未完成のこの作品を観て「『映研のゾンビ』は、学校の景色が浮かんで良かったです。」といった感想をメールでくれました。それで、なんとか完成させようと思い直しました。 顧問の先生を全く映画を観ない人にして書き直してみたら一気に話が転がり出して完成しました。 ゾンビものに限らず僕の一人芝居の中でも完成度が高い作品だと思います。 一人一役パターンでこれだけの場面があってスピーディーに話が展開する一人芝居は、他にないと 思うし、この作品が僕のグレート一人芝居の完成形のうちの一本です。
ー帰郷ー 僕の初めてのゾンビもの『ドナーサマーナイト』の執筆中に、ゾンビになった友達とドライブに行く話を思いつきました。ただシャララの再始動公演でやるには、地味な気がして寝かしときました。 そしてシャララ再始動公演を終えて、すぐに一人芝居も再始動しなきゃいけなかったんで、わりとすぐに寝かしてたのを起こしました。
福岡を舞台にして書き出したら、あっと言う間に書けました。 全編福岡弁でも東京で通用するんじゃないかと思っていたんで まずは一人芝居で試してみる意味合いもありました。 『帰郷』の評判が良かったことで、その後の福岡弁シリーズの作品も生まれたし、そもそも『帰郷』がなかったら、ゾンビものだけの公演『サマーオブザデッド』をやろうとは思わなかっただろうし、ゾンビフェスも開催されてなかったと思います。
僕にとっては、特別な一本です。 今年は秋の開催になってしまいましたが これからもゾンビフェスで、夏の終わりに上演していきたいと思ってます。
Comments